
生まれて数日たった赤ちゃんの肌を見てみると、黄色みを帯びたような状態が見受けられることはありませんでしたか?
肌や白目の部分が黄色っぽい状態となることを「黄疸(おうだん)」といいます。
この現象をどの赤ちゃんにも起こり得ることで、赤ちゃんの黄疸を「新生児黄疸」と呼びます。
基本的には発症から7~10日ほどで解消されていきますが、場合によっては長期的な症状となることもあります。
また、中には黄疸に関わりのある危険な病気を発症する可能性もあるのです。
日頃から黄疸について注意しておくべきであると言えるでしょう。
今回は赤ちゃんの「黄疸」についてご説明させていただきます。
新生児黄疸について理解を深めましょう。
目次
1.「黄疸」とは?
黄疸とは、血液中の「ビリルビン」と呼ばれる物質が増加することで発症する症状のことを言うようです。
ビリルビンの色素は黄色いため、血液中のビリルビンの濃度が高まると肌の表面などが黄色く見えるようになるそうです。
ビリルビンは、赤血球の中に含まれるヘモグロビンという物質が壊れてしまう過程の中で生み出される代謝産物の一種であるとされています。
また、肝硬変や肝炎など肝臓の病気がある場合、胆菅系に異常がある場合に発症することもあるようです。
中には先天的にビリルビンがうまく処理されない体質であるために発症する黄疸もあるようなので、黄疸の症状が見受けられて場合は、一度お医者さんに診てもらった方が良いでしょう。
2.赤ちゃんの黄坦「新生児黄疸」
新生児黄疸とは、その名の通り赤ちゃん見られる黄疸の症状のことを言います。
ママのお腹の中にいるときの赤ちゃんは、大人に比べて血液中の赤血球の数が1.5~2倍ほど多いようです。
これは、胎盤の中での必要な酸素をより効率よく確保するためだとされています。
生まれてくると、肺での呼吸がスムーズに出来るようになり、余分な赤血球は破壊されていくことになります。
この破壊された赤血球の中にあるヘモグロビンが、ビリルビンとなり、肌の表面が黄色く見えるようになります。
この状態を一般的には新生児黄疸と呼ぶようです。
生理現象の一つとされていますが、ビリルビンの濃度が強くなりすぎると、大脳基底核などに付着してしまう可能性があるため、注意が必要となります。
多くの赤ちゃんが生後2~3日ほどで黄疸が発症するとされています。
3.黄疸の特徴
黄疸の症状として見受けられるのは、赤ちゃんの肌や白めの部分などが黄色っぽくなるということです。
生まれて間もない赤ちゃんの肌は、赤血球の多さからどちらかというと「赤」のイメージが強いかと思います。
わかりやすく赤ちゃんの肌の様子は変化していくので、肌の色が黄疸であるかのサインであると言えるでしょう。
肌や白目が黄色っぽくなっている様子が見受けられた場合は、新生児黄疸となっている可能性があると考えるようにしましょう。
赤ちゃんの肌の様子を日頃から観察しておくと、小さな変化にも気付けるかと思います。
4.黄坦が発症する原因とは?
赤ちゃんに黄疸が発症する原因はいくつか挙げる事ができます。
4-1.生理的黄疸
赤血球内に発生するビリルビンは、通常は肝臓で処理されて腎臓から排出されます。
しかし、赤ちゃんの体の機能はまだまだ未発達なため、場合によっては肝臓でビリルビンが処理しきれずに残ってしまうことがあるようです。
このビリルビンが原因となり、黄疸が発症することがあります。
この黄疸を生理的黄疸と呼びます。
黄疸が発症する一番の原因であると言えるでしょう。
4-2.母乳性黄疸
母乳を飲む赤ちゃんは多いかと思いますが、母乳には肝臓の酵素の働きを弱める女性ホルモンが多く含まれています。
母乳を摂取するということは、自然とビリルビンが処理されるのが遅くなってしまうとも言えるのです。
母乳が影響している黄疸を母乳性黄疸と呼びます。
母乳性黄疸は2週間を超える長い期間で発症することもあるようです。
ただし、母乳だけでなくミルクを足すなどすることで症状を軽減することもできるので、心配になりすぎる必要はありません。
4-3.血液型不適合
ママと赤ちゃんの血液型が違う場合、場合によってはママの体に赤ちゃんの血液に対する抗体が作られることがあるようです。
抗体が胎盤を通じて赤ちゃんの体に届くと、抗原抗体反応を起こし、赤ちゃんの赤血球が破壊されてしまうことがあります。
一人目の赤ちゃんのときは、ママの体に抗体が出来あがっていないため、原則的に血液型不適合とはなりません。
第2子以降では血液型不適合となる可能性があると言えるでしょう。
血液型が不適合となるパターンについても2つに分類することができます。
4-3-1.RH型不適合
特にママがRHマイナス、赤ちゃんがRHプラスにて不適合の場合、強い黄疸を発症することがあります。
4-3-2.ABO型不適合
特にママがO型、赤ちゃんがA型またはB型の場合に黄疸が発症するケースが多いようです。
一人目の赤ちゃんを出産後に抗体が出来ないようにする治療を行えば、二人目以降の赤ちゃんについても血液型不適合による黄疸を予防することができます。
基本的に、生理的黄疸であることが多く、発症から7~10日くらいで症状が緩和されていくことがほとんどです。
ただし、母乳性黄疸など、症状が長引く場合もあるということを覚えておきましょう。
黄疸発症時は症状の経過をよく観察しておく必要があります。
5.黄疸の治療
生理的に発症する黄疸については基本的には治療の必要はありません。
治療が必要となるケースは、血液中のビリルビンが15mg/dlを超える核黄疸になる恐れがある場合となります。
病的黄疸の可能性がある場合は、病院に行きお医者さんに診察してもらう必要があるでしょう。
主となる治療方法は「光線治療」です。
ビリルビンは日光や蛍光灯の光に当たることで濃度が減少するとされています。
青い光や緑色の光を赤ちゃんに当てて、ビリルビンの濃度を減らす治療となります。
ただ、光線でもビリルビンの値が下がらなければ、体内の血液をすべて置き換える「交換輸血」が行われます。
6.黄疸で注意すべきこと
黄疸において、ほとんどの場合は自然と解消されていきますが、場合によっては深刻なトラブルとなってしまうケースがあります。
6-1.核黄疸
核黄疸とは、血液中のビリルビン値が上昇し脳内に沈着してしまうことで、脳細胞が侵されてしまう病気のことを言います。
特有な中枢神経症状となり、場合によっては後遺症を残してしまうこともあるそうです。
6-2.胆道閉鎖症
胆汁の通り道である胆管が詰まってしまうことで、胆汁を腸管内に排出できなくなってしまう病気のことを言います。
黄疸は胆汁が肝臓内に溜まってしまうと、胆汁性硬変症や脂肪の吸収が悪くなることによる脳出血などを誘発してしまう可能背もあるため注意が必要です。
赤ちゃんにとって重大なトラブルとなりかねない事象には、黄疸が関係している可能性もあります。
黄疸発症時には、これらの危険性も考慮しておく必要があります。
7.定期的に検査をすること
特に母乳育児に取り組んでいる方は、母乳が原因で黄疸が発症してしまっているのではないかと心配になられる方も多いかと思います。
例え母乳性黄疸であったとしても、自然と解消されていく症状なので心配になりすぎる必要はありませんよ。
ただし、黄疸には母乳以外にも発症の原因となる事象がいくつもあります。
黄疸が良性のものであると判断することは難しいかと思うので、やはり定期的にお医者さんに診てもらうなどして赤ちゃんの傾向を把握しておく必要があると言えるでしょう。
血液検査をすることで、血液中のビリルビン値を計測することができます。
お医者さんと相談をしながら、育児の方向性をかためていくようにしましょう。
母乳性黄疸は、赤ちゃんがきちんと母乳を飲んでくれている証でもあります。
母乳を飲むことは、赤ちゃんの成長においても重要な事なので、そこまで深刻に考えないようにしましょう。
8.日頃から赤ちゃんの様子をよく観察しておくこと
赤ちゃんはとても繊細で、ちょっとしたことでも体に変化が現れてきます。
これら一つ一つは赤ちゃんからのなんらかのサインであると受け取るようにしましょう。
赤ちゃんは言葉にして自分に起こっている症状などを伝えることができません。
気付いてあげるのは、ママ・パパなのです。
実際に、赤ちゃんに重大なトラブルが起きてしまった場合、大事なのは「早期発見・対処」をすることです。
日頃から赤ちゃんの様子をよく観察してあげるようにし、ちょっとした変化にも気付けるようにしてあげましょう。
お医者さんに相談する際も、普段の様子は診察するうえでの大切な情報ともなります。
9.最後に
新生児黄疸は誰にでも起こり得る症状です。
症状も7~10日ほどで解消されていくので、過度に心配しすぎる必要はありません。
ただし、黄疸が関係してくる危険な病気もあるということを覚えておきましょう。
その判断は、症状の度合いや日頃の赤ちゃんの様子から、まずはママ・パパがしてあげる必要があります。
早期に気付くことができる事で、早い段階でお医者さんに診てもらうことができますし、重大なトラブルになる前に改善してあげる事ができるはずです。
繊細な赤ちゃんの体を守ってあげ、健やかな成長を見守ってあげてください。
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